2018年6月29日金曜日

第11章 老いること (元データと判定・解釈・考察と書き換え)

訂正・変更履歴
・詩番号135を詩148の後に挿入しました。(180925)


第11章 老いること

 この章、全体は、新約聖書に通じる文章仕立てだと感じています。全般的に、とても恐ろしい雰囲気を醸し出していますが、非常に正確に人間の体を説明しています。これも、お釈迦様がより高次の存在から教授されている教えだと思います。多少、筆を入れましたが、極めて改ざんが少ないと感じています。


詩番号 146~148

***(元データ)*************
146)何の笑いがあろうか。何の歓びがあろうか?──世間は常に燃え立っているのに──。汝らは暗黒に覆われている。どうして燈明を求めないのか?

147)見よ、粉飾された形体を!(それは)傷だらけの身体であって、いろいろのものが集まっただけである。病いに悩み、意欲ばかり多くて、堅固でなく、安住していない。

148)この容色は衰えはてた。病いの巣であり、脆くも滅びる。腐敗のかたまりで、やぶれてしまう。生命は死に帰着する。
***(判定)*************
146)A
147)A
148)A
***(コメント)*************
なし
***(書換え詩)*************
146)書き換え不要
147)書き換え不要
148)書き換え不要




詩番号 135
***(元データ)*************
135)
 牛飼いが棒をもって牛どもを牧場に駆り立てるように、老いと死とは生きとし生けるものどもの寿命を駆り立てる。
***(判定)*************
135)A
***(コメント)*************
135)
 第10章 暴力 から第11章 老いることへ移動しました。

136)
 第5章 愚かな人 詩番号69の後に挿入します。
 “しかし”で、詩が始まるのは変ですから、文章の意味が通じるように書き換えます。
 比喩部分は不要なので削除します。

***(書換え詩)*************
135)書き換え不要




詩番号 149、150

***(元データ)*************
149) 秋に投げすてられた瓢箪(ヒョウタン)のような、鳩の色のようなこの白い骨を見ては、なんの快さがあろうか?

150)骨で城がつくられ、それに肉と血とが塗ってあり、老いと死と高ぶりとごまかしとがおさめられている。
***(判定)*************
149)A
150)A
***(コメント)*************
なし
***(書換え詩)*************
149)書き換え不要
150)書き換え不要



詩番号 151、152

***(元データ)*************
151)いとも麗しい国王の車も朽ちてしまう。身体もまた老いに近づく。しかし善い立派な人々の徳は老いることがない。善い立派な人々は互いにことわりを説き聞かせる。

152)学ぶことの少ない人は、牛のように老いる。かれの肉は増えるが、かれの知慧は増えない。
***(判定)*************
151)A
152)A
***(コメント)*************
ことわり→道理、彼→その人と置き換えます。
***(書換え詩)*************
151)いとも麗しい国王の車も朽ちてしまう。身体もまた老いに近づく。しかし善い立派な人々の徳は老いることがない。善い立派な人々は互いに道理を説き聞かせる。

152)学ぶことの少ない人は、牛のように老いる。その人の肉は増えるが、その人の知慧は増えない。


詩番号 153、154

***(元データ)*************
153)わたくしは幾多の生涯にわたって生死の流れを無益に経めぐって来た、──家屋の作者(ツクリテ)をさがしもとめて──。あの生涯、この生涯とくりかえすのは苦しいことである。

154)家屋の作者よ! 汝の正体は見られてしまった。汝はもはや家屋を作ることはないであろう。汝の梁はすべて折れ、家の屋根は壊れてしまった。心は形成作用を離れて、妄執を滅ぼし尽くした。
***(判定)*************
153)A
154)D
***(コメント)*************
154)では、家屋(人間の体)の作者は誰か?これが大切です。実は、これが煩悩や妄執に染まった心なのです(第25章 修行僧(修正版) 詩380)参照)。魂全体を牽引する働きがあるのが心で、心が煩悩や妄執を滅ぼせば、形成作用を離れるのです。これが安らぎに入るということです。
***(書換え詩)*************
153)書き換え不要

154)家屋の作者よ! 汝の正体は見られてしまった。心は妄執を滅ぼし尽くし、体の形成作用を離れたので、汝(心)はもはや家屋を作ることはないであろう。汝の梁はすべて折れ、家の屋根は壊れてしまった。



詩番号 155、156

***(元データ)*************
155)若い時に、財を獲ることなく、清らかな行ないをまもらないならば、魚のいなくなった池にいる白鷺のように、痩せて滅びてしまう。

156)若い時に、財を獲ることなく、清らかな行ないをまもらないならば、壊れた弓のようによこたわる。──昔のことばかり思い出してかこちながら。
***(判定)*************
155)A
156)A
***(コメント)*************
 この2詩は、在家者への教えです。正当な手段によって財を獲ることは、清らかな行いを保つことと、同等に大切なことであることを、教えています。出家修行の励行にブレーキをかけていると、私は感じています。
 私なりに、
若い時に、
財を蓄えた+清らかな行いを保つ、
財を蓄えない+清らかな行いを保つ、
財を蓄えた+清らかな行いを保たない、
財を蓄えない+清らかな行いを保たない、
の4パターンを考察して、下表にまとめました。


「かちこちながら」については、「頑なな心となる。」と書き換えます。
***(書換え詩)*************
155)書き換え不要
156)若い時に、財を獲ることなく、清らかな行ないをまもらないならば、壊れた弓のように横たわる。──昔のことばかり思い出して、頑なな心となる。



(第11章 老いること 終わり)