・第13章 世の中 167詩 引用ミス 取消線と赤字にて対応(180711)
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書換え詩一覧 その8
第12章 自己、第20章 道、第13章 世の中、第11章 老いること
第12章 自己
(160)[178]
魂(自己)こそ心(自分)の主である。他人がどうして心(自分)の主であろうか? 魂(自己)をよく整えたならば、得難き主を得る。
(157)[179]
もしも人が魂(自己)を愛しいものと知るならば、魂(自己)をよく守れ。賢い人は、怠らずに励み、常につつしんで目ざめているようにせよ。
(161)[180]
心が作り、心から生じ、心から起った悪が知慧悪しき人(魂)を打ちくだく。─金剛石が宝石を打ちくだくように。
(162)[181]
愚かな人は、仇敵がかれの不幸を望むとおりのことを、魂(自己)に対してなす。─蔓草(ツルクサ)が沙羅の木にまといつくように。
(158)[182]
先ず自己を正しく整え、次いで他人を教えよ。そうすれば賢明な人は、煩わされて悩むことが無いであろう。
(159)[183]
他人に教えるとおりに、自分でも行なえ──。自己をよく整えた人こそ、他人を整えるであろう。自己は実に制し難い。
(164)[184]
愚かにも、悪い見解にもとづいて、真理に従って生きるブッダ・真人たちの教えを罵るならば、その人は悪い報いが熟する。──カッタカという草は果実が熟すると自分自身が滅びてしまうように。
(163)[185]
善からぬこと、自己のためにならぬことは、なし易い。ためになること、善いことは、実に極めてなし難い。
(165)[186]
自ら悪をなすならば、自ら汚れ、自ら悪をなさないならば、自ら浄まる。浄いのも浄くないのも、各自のことがらである。人は他人を浄めることができない。
(166)[187]
たとい他人にとっていかに大事であろうとも、(自分ではない)他人の目的のために自己のつとめをすて去ってはならぬ。自己の目的を熟知して、自己のつとめに専念せよ。
(第12章 自己 終わり)
第20章 道
(273)[188]
人の道の中では、仏道が最もすぐれている。
人の道の真理の中では、四諦(苦・集・滅・道)が最上である。
もろもろの徳の中では、執着から離れることが最もすぐれている。
人々の内では、ブッダ(=眼ある人)が最もすぐれている。
(274)[189]
これこそ道である。(真理を)見るはたらきを清めるためには、この他に道は無い。汝らはこの道を実践せよ。これこそ悪魔を迷わして(打ちひしぐ)ものである。
(275)[190]
汝らがこの道を行くならば、苦しみをなくすことができるであろう。(棘が肉に刺さったので)矢を抜いて癒す方法を知って、わたくしは汝らにこの道を説いたのだ。
(276)[191]
汝らは(みずから)つとめよ。もろもろの如来(=修行を完成した人)は(ただ)教えを説くだけである。心をおさめて、この道を歩む者どもは、悪魔の束縛から脱れるであろう。
(277)〜(279)[192]
「一切の形成されたものは無常である」(諸行無常)
「一切の形成されたものは苦しみである」(一切皆苦)
「一切の事物は我ならざるものである」(諸法非我)
と明らかな知慧をもってこの世の全てを観るときに、人は苦しみから遠ざかり離れる。これこそ人が清らかになる道である。
(280)[193]
起きるべき時に起きないで、若くて力があるのに怠りなまけていて、意志も思考も薄弱で、怠惰でものうい人は、明らかな知慧によって道を見出すことがない。
(281)[194]
ことばを慎しみ、心を落ち着けて慎しみ、身に悪を為してはならない。これらの三つの行ないの路を浄くたもつならば、ブッダの説きたもうた道を克ち得るであろう。
(282)[195]
実に心が統一されたならば、豊かな知慧が生じる。心が統一されないならば、豊かな知慧がほろびる。生じることとほろびることとの、この二種の道を知って、豊かな知慧が生ずるように自己をととのえよ。
(283)[196]
一つの樹をを伐るのではなくて、(煩悩の)林を伐れ。危険は林から生じる。(煩悩の)林とその下生えとを切って、林(=煩悩)から脱れた者となれ。修行僧らよ。
(284)[197]
たとい僅かであろうとも、男女の淫らな欲望が断たれないあいだは、その人の心は束縛されている。
(285)[198]
自己の煩悩の執着を断ち切れ、─池の水の上に出て来た秋の蓮を手で断ち切るように。静かなやすらぎに至る道を選び進め。めでたく行きし人であるブッダは安らぎへの道を説きたもうた。
(286)[199]
「わたしは雨期にはここに住もう。冬と夏とにはここに住もう」と愚者はこのようにくよくよと慮って、死が迫って来るのに気がつかない。
(287)[200]
子どもや家畜のことに気を奪われて心がそれに執著している人を、死はさらって行く。──眠っている村を大洪水が押し流すように。
(288)[201]
子も救うことができない。父も親戚もまた救うことができない。死に捉えられた者を、親族も救い得る能力がない。
(289)[202]
心ある人はこの道理を知って、教えをまもり自らを清め、安らぎに至る仏道をすみやかに進め。
(第20章 道 終わり)
第13章 世の中
(167)[203]
下劣なしかたになじむな。怠けてふわふわと暮らすな。邪な見解をいだくな。世俗のわずらいをふやすな。
(168)[204]
奮起てよ。怠けてはならぬ。道理に従った善い行いを実行せよ。道理に従って行なう人は、この世でも、あの世でも、安楽に臥す。
(169)[205]
道理に従った善い行ないを実行せよ。道理に従わない悪い行ないを実行するな。道理に従って行なう人は、この世でも、あの世でも、安楽に臥す。
(170)[206]
世の中は泡沫のごとしと見よ。世の中はかげろうのごとしと見よ。世の中をこのように観ずる人は、死王もかれを見ることがない。
(171)[207]
さあ、この世の中を見よ。王者の車のように美麗である。愚かな人はそこに耽溺(タンデキ)するが、賢い人はそれに執著しない。
(172)[208]
以前は怠りなまけていた人でも、のちに怠りなまけることが無いなら、その人はこの世の中を照らす。─雲を離れた月のように。
(173)[209]
以前には悪い行ないをした人でも、のちに善によってつぐなうならば、その人はこの世の中を照らす。─ 雲を離れた月のように。
(174)[210]
この世の中は暗黒である。ここではっきりと(ことわりを)見分ける人は少ない。網から脱れた鳥のように、天に至る人は少ない。
(175)[211]
白鳥は太陽の道を行き、神通力による者は虚空(ソラ)を行く。人々は、自己を正しく治め、悪魔とその軍勢にうち勝てば、世界から連れ去られる。
(176)[212]
唯一無二の真理を逸脱し、偽りを語り、安らぎの世界を無視している人は、どんな悪でもなさないものは無い。
(177)[213]
愚かな人々は分かちあうことをたたえない。しかし賢い人々は分かちあうことを喜ぶ。そして、それぞれが、自己にあいふさわしい来世に赴く。
(178)[214]
大地の唯一の支配者となるよりも、天に至るよりも、全世界の主権者となるよりも、自己を治め、真人となるほうがすぐれている
(第13章 世の中 終わり)
第11章 老いること
(146)[215]
何の笑いがあろうか。何の歓びがあろうか?──世間は常に燃え立っているのに──。汝らは暗黒に覆われている。どうして燈明を求めないのか?
(147)[216]
見よ、粉飾された形体を!(それは)傷だらけの身体であって、いろいろのものが集まっただけである。病いに悩み、意欲ばかり多くて、堅固でなく、安住していない。
(148)[217]
この容色は衰えはてた。病いの巣であり、脆くも滅びる。腐敗のかたまりで、やぶれてしまう。生命は死に帰着する。
(135)[295] 第10章 暴力より移動(第11章 老いること の詩番号148の後に移動)
牛飼いが棒をもって牛どもを牧場に駆り立てるように、老いと死とは生きとし生けるものどもの寿命を駆り立てる。
(149)[218]
秋に投げすてられた瓢箪(ヒョウタン)のような、鳩の色のようなこの白い骨を見ては、なんの快さがあろうか?
(150)[219]
骨で城がつくられ、それに肉と血とが塗ってあり、老いと死と高ぶりとごまかしとがおさめられている。
(151)[220]
いとも麗しい国王の車も朽ちてしまう。身体もまた老いに近づく。しかし善い立派な人々の徳は老いることがない。善い立派な人々は互いに道理を説き聞かせる。
(152)[221]
学ぶことの少ない人は、牛のように老いる。その人の肉は増えるが、その人の知慧は増えない。
(153)[222]
わたくしは幾多の生涯にわたって生死の流れを無益に経めぐって来た、──家屋の作者(ツクリテ)をさがしもとめて──。あの生涯、この生涯とくりかえすのは苦しいことである。
(154)[223]
家屋の作者よ! 汝の正体は見られてしまった。心は妄執を滅ぼし尽くし、体の形成作用を離れたので、汝(心)はもはや家屋を作ることはないであろう。汝の梁はすべて折れ、家の屋根は壊れてしまった。
(155)[224]
若い時に、財を獲ることなく、清らかな行ないをまもらないならば、魚のいなくなった池にいる白鷺のように、痩せて滅びてしまう。
(156)[225]
若い時に、財を獲ることなく、清らかな行ないをまもらないならば、壊れた弓のように横たわる。──昔のことばかり思い出して、頑なな心となる。
(第11章 老いること 終わり)